健康なカラダへ

【10分でわかる】2019年ノーベル医学生理学賞を分かりやすく解説!

2019年のノーベル医学生理学賞が、米英の3人の研究者に贈られることが決まりました。

彼らの研究は、貧血やがんなど多くの病気の治療法や治療薬の開発に応用できると期待されています。

こちらでは、彼らの研究である、
細胞が周囲の酸素レベルを認知し、それに応答する仕組み」
を分かりやすくご紹介いたします。

酸素とは

空気の約20%を占める酸素、皆さんも、酸素がとても重要なことは知っていますよね。
では、酸素はカラダにどのような影響があるのでしょうか。

例えば

  • 食べ物の消化吸収を助ける
  • 筋肉の伸び縮みを可能にする
  • 体内で適当な栄養分に変換する

など、いろいろあります。

これらすべては人間のカラダの最小単位である細胞によって起きるものです。

そして、そのすべての細胞のエネルギー源が酸素です。

彼らが解明したこととは

これまでは、上記の様に、酸素の役割は解明されていました。

しかし、どのように細胞が低酸素状態に対応しているか分かりませんでした。

と言っても分かりにくいので1つ例をあげます。

山の頂上は空気が薄いことは知っていますよね。山の頂上で起きている現象こんな感じです。

  • 赤血球:肺で酸素を受け取り、カラダ全体に運ぶ働きをもつ
  • エリスロポエチン(ERP):赤血球を作る働きをうながす

体内の酸素レベルが低下

腎臓により感知

エリスロポエチンが作られる

赤血球が増加

低酸素状態への対応

彼らは、細胞がどのように周囲の酸素レベルを感知し、それに応答する仕組みを解明しました。

研究内容

これまでの研究で、EPOホルモンが酸素レベルの低下に関係していることは分かっていました。

そして、今回米ジョンズ・ホプキンズ大学のセメンザ(Gregg L. Semenza)教授は、このEPOの遺伝子がどのように制御されいるか研究をしました。

転写因子とは

その前に、今回特に重要な、転写因子をご紹介します。

まず、DNAがあります。このDNAには、転写因子があり、これがどの部分のDNAを使うかコントロールしています。

というのも、人間のカラダは、同じDNAからいろいろな臓器が作られますよね。
つまり、DNAというコードの「読む」場所を変えることで、さまざなな組織を作っているのです。

HIFの発見

セメンザ教授は、肝細胞を用いた実験で、カラダが低酸素状態の時にEPO遺伝子を活性化させるタンパク質を発見しました。そのタンパク質が転写因子HIFであることもつきとめました。
このHIFはHIF-1aとARTNで構成されていました。

その後の研究で、酸素が十分にある環境では、細胞内にほとんどHIF-1aがないことが分かりました。

なぜ?

酸素が十分ある環境では、ユビキチンという「目印」がHIF-1aと結合し、この目印に働くプロテオソームという酵素により分解されいました。

一方で、低酸素状態の細胞では、この「目印」が付いていなく、HIF-1aは分解されていませんでした。つまり、HIF-1aは増え続けていました。

この時点では、まだ、細胞がどうやって周囲の酸素レベルを感知しているかは未解明でした。

VHL遺伝子の発見

がん研究者のケーリン教授と泌尿器科医のラトクリフはこれを解明しました。

ケーリン教授は、遺伝性疾患フォン・ヒッペル・リンドウ病の患者さんのVHLという遺伝子に変異があることをつきとめました。そして、2つの発見がありました。

  1. VHL遺伝子ががんの発症を予防するタンパク質を作る
  2. 欠損したVHL遺伝子をもつがん細胞は、低酸素応対に関連する遺伝子のレベルが高くなった

これにより、VHL遺伝子とHIF-1aが関係していることが分かりました。

そして、その後の研究で、酸素が十分にある環境下では、
HIF-1aが水酸化され、それにより、VHLがHIF-1aに結合し、ユビキチンが付き、最終的に分解されるという、一連のプロセスを明らかにしました。

これが、低酸素状態では、HIF-1aが分解されない理由です。つまり、HIF-1aが作られることにより、最終的に赤血球の増加につながり、低酸素状態に対応するのです。

この研究がもたらすものとは

今回解明された、細胞の低酸素状態時の働き方は、これから多くの病気の治療そして治療薬の開発につながると期待されております。

この中には、EPOレベルの低下による貧血を発症する慢性腎不全やがんなど様々です。

彼らの研究が、多くの治療法や治療薬の開発に貢献することを祈っています!

今回の記事は、Nobel Prize in Physiology or Medicine 2019: How cells sense and adapt to oxygen availabilityを参考にしました。

ABOUT ME
けんた
けんた
鹿児島生まれの23歳。 高校で不登校になったことをきっかけに、単身でニュージーランドの高校に留学。その後、帰国生入試で日本の大学進学を検討するが、ニュージーランドライフがとても気に入り、現地の大学に進学。大学では、免疫学と遺伝子学を専攻。そして、現在は帰国し、東京でサラリーマン中。 このブログでは、ニュージーランド留学・趣味の筋トレ情報を中心に発信しています。
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